木目透かし彫りについて

平安の貴族文化を描いた源氏物語の文中に

沈の木の透かし彫りの箱にいれて同じ木で作った上飾りを付けた新味のある御贈り物 (与謝野晶子訳)

と言う段があります。

 古より透かし彫りの木彫り工芸品は、貴重品とされ珍重されておりましたが、その細工の難しさと原材料の入手難から製作数が極めて少ない為、ほとんどの人の目にとまることなく、ごく限られた方々だけにて愛用されてきました。

 現在、伐採本数が大変少なくなってきた寒冷地で育つ樹齢数百年の大木は、年輪がはっきりし、年輪幅が細く重なっています。木目透かし彫りは、この自然が生み出した恵みとも言うべき年輪を活用することにより、従来の技法では、表現できなかった繊細な部分も掘り込むことができます。

 この貴重な木の柔らかな部分(夏目)を掘り込み、硬い部分(冬芽)をのこすといった大変手間の掛かる作業を惜しみなく費やされた時間の賜物と匠の技をご覧下さい。

ノミや糸鋸はもちろん現在流行りのレーザー光線などでは透かすことのできないような細部まで彫りこんだ木彫りの逸品です。


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